Whatever

花より男子 二次創作小説 CP 類×つくし

 

ごあいさつ 




お越しいただき、ありがとうございます。

当blogは、「花より男子」の二次小説blogです。
カップリングは 『 類×つくし 』 オンリーです。
その他のCP予定は今のところ全くありません。

原作者様および出版社様等とは一切関係ありません。
原作主義の方、原作のイメージを壊したくない方は、
決してお読みにならないようお願い致します。

なお、全ての閲覧は自己責任でお願いします。



当blogのタイトル、URL、作品の一部であったとしても、
無断転載は禁止です。










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category: ごあいさつ

thread: 管理人より - janre: その他

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◆短編

・プロポーズ ・以心伝心 ・ずっと先 ・flutter ・marriage ・恋愛の法則(前) (後) 
・乙女のはにかみ ・離陸態勢 ・リラの咲く頃 ・meet a deadline ・ラブレター 
・きっかけSide:Rui(2012桃の節句) ・ウソつき(前)(後) ・free spirit ・泣き虫 
・予定調和 ・南風 ・Love is giving ・近距離恋愛 ・below the horizon 
・heartbreak law (ver.Rui) ・heartbreak law (ver.Tsukushi)  ・初恋 ・ラストステップ 
・Cheap Love ・仲良し ・No End of Love ・Dreamscape  ・Snowscape  ・約束
・Overcast Kiss ・恋愛管理 ・Songbird ・Once in a Lifetime (前) (中) (後)
・Starting tomorrow. (2019.3.29)  ・day after tomorrow ・パスポート
・はじまり ・いじわる ・ファーストステップ - Coming Soon -


イベント(短編)
・降っても降らなくても(2011七夕) ・類のプレゼント (2011Halloween) 
・by and by前 (2012WD) ・甘くてアマイ(2013V.D.) (前)(後)オマケ ・infinity (2013RuiBD)


※2011クリスマス企画
・告白の行方 (前) (後)  ・すれ違いの行方 (前) (後)


二人暮らしシリーズ(完)
・二人暮らし   ・GAME  ・オオカミ青年  ・冷たいロマンチック(2011つくしB.D)
・ワガママ(2012類B.D)
二人暮らし番外
・because you are very special to me. (2012VD)


You complete me. シリーズ(完)
・You complete me. (2019VD)・You complete me. (2019WD) 
 → ・To me, you are perfect.1 2・You make my life complete.
<番外編> スカイ・ロック・ゲート 1 2 3 4


わたしの旦那様シリーズ (それそれに独立した短編。 続きものではありません)
・Good Morning  ・ストロベリーフィールド  ・わたしのおしごと  ・秘密
・おめかし  ・なみだのあと(2012つくしBD)  ・お買いもの ・定期メンテナンス- Coming Soon -



・花沢類のアルバイト 1 2...


・first experience 1 2 3 4 (完)


・僕らの恋 1 2 3 (終)





◆中編

・シアワセな日々 1 2 3 (終)
 <番外編> ・シアワセな日々 : ahead of that  
    ・snow drop 1 2 3 4 5 6 7 8 (完)
・シアワセな日々 : つくしの反乱 1 2 3 4 5 6 7 8 (終)
・シアワセな日々Ⅱ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 (終)
・シアワセな日々Ⅱ : 逆襲の類 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 (完)


・つくしの長い一日 1 2 3 4 5 6 (完)


※1→2→3→4→a clear day→5→a rainy day→6→逆光→7→tea break→8→閃光→9
・sugar 1 2 3 4 5 6 7 8 9 (完)
 <番外編> ・a clear day ・a rainy day ・逆光  ・tea break ・閃光 (前) (後)
 <特別編> ・つくちゃんと一緒  ・お願いごと  ・ごはんだよ
       ・Happy Holidays(前)(後)(2012Xmas) ・Sugar baby (2019桃の節句)

sugar番外シリーズ (中編のsugar番外にリンクした短編)
・On the sun in the sky ・水色の傘 ・横顔 ・落書き ・コイビト ・wrong guess


・The Best Lasts Forever 1 2 3 4 5 6 7 8 (完)


・天然自然 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15.1 15.2 16 (完)
 <番外編> ・定期便  ・年始のあいさつ  ・Flowers for…  ・affection 
      ・年始の挨拶(2013)


ポップシリーズ
・ポップチューン  ・ミディアムポップ  ・ポップコンフェクション  ・ポップロック
・ポップビート  ・テクノポップ  ・ポップナンバー (完)
(ポップシリーズ続編)
・ポップスター 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 (完)


・ダブルスチール 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 (完)


・抹茶みるく 1 2 3 4 5 6 7 8 (完)


※不定期連載
・泰然自若 1 2 3 4 5 6 7 ......


・forget-me-not 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 (完)


・Higher than the sun - Coming Soon -






◆長編

・and evening 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
        21 22 23 24 25 26 (終)
       ・bright golden yellow  ・ultramarine (完)
   
  <番外編> 観覧車



・Viva La Vida 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 (完)

  <特別編> ・This love is two dollars. 1 2 3 4 5 6 7 (完)



・A solar fragment. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 (完)

  <特別編> ・ソメイヨシノ(2012類B.D) 1 2 3 (完)



・little by little 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 (完)

  <aftereffect> ・うたた寝 (2019RuiBD)



・君の恋人 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 (完)


連載中
・First crush 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20





◇コラボ
 (類つくサイトマスターさまとのコラボレーション作品)

・Morning Glory 1 2 3 4 5 5.5 6 7 (完)  ・朝顔の花永遠

・木枯らしと陽だまり 1 2 3 4 5 6 7 8 (完)
 <続編> ※ so単独執筆
  ・そよ風と水たまり 1 2 3 (完)



■ final note












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First crush 11 

Chapter : 11





研修当初こそ、己の扱われ方に納得が出来ないような気持ちがあって、
あたしだけが部門を跨いだり、語学研修を受けたり、
どこへ行ってもそこの偉い人が様子を見に来たり、
時にはに直々に挨拶をされたり......。

あたしは類の彼女...つまり、花沢の社長の息子の彼女だけれども、
あたし自身は何も持っていないただの学生なのだ、と。

だから、
「類の彼女って言う、色眼鏡で見られることがちょっと......」と、
思い切って類に相談もしてみたのだけれど、
「色眼鏡で見てもらわないと困るんだけど?」と、返されてしまって......。

類曰く、
「だってそうだろ?」とのこと。
あたしは将来、花沢の社長夫人になるのだから、
その辺の一般社員と同列で見られて良い訳がないと。

あたしとしては、ただ、他の研修生と同じ様にって、それだけだったのだけれど、
同じ様には出来ないと、
春には海外勤務が決まっているのだし、一般の学生と同じ研修で良い訳がないと、
そう、きっぱりと言われて、
ようやく、あたしは、なるほどね。と、納得をした。

彼女枠で内定をもらい、勝手に自分が特別扱いをされている...と、思いこんでいた。

考えてみたら、類自身も社長の息子というだけで、
新入社員とはいえある程度の立場を与えられ、責任を負っている。

それとあたしでは全く別だけれど、
あたしが好待遇なのには、ちゃんと理由があるのだ。

類には、あたしの性格上、自分で切り拓きたいとか、
自分自身の実力を認めて欲しい気持ちがあるのは解るとも言われた。
だから、その実力を見せてよなんて笑われて。





***





来春、同期になるであろう学生達と、
当たり障りない会話をしながら、エントランスへ向けてロビーを横切って行く。

「牧野!」

良く通る声が響いてビクッとする。
振り向けば、颯爽と向かってくる。

「ど、ど...どう...」

予想外の人物の登場に動揺を隠せないあたしと、ロビーの騒めき。
外は夕暮れ。


「何だよ、その顔は」

あたしの正面まできた道明寺は少し不服そうに言った後、フンッと笑う。

「ど、ど、どう...どうし...あ...どうみょ...う......!」
「落ち着けよ」

呆れたように言われて、
「来い」と、道明寺の腕があたしに向かって伸びてくる。

......と、


「はい、さわらないで」


目の前で一瞬にして叩き落された道明寺の手のひらに唖然。

また、いつの間にこんな傍まで来ていたのか、
涼しい表情の類が、両手をぱんぱんと叩いて払う仕草。


「類、お前...!」
「俺の彼女に勝手にさわらないで。 って言うか、さわろうともしないで」






















「牧野、何で類と付き合ってんだよ」
「何でって、好き同士だから、だけど?」

他に何が?的な感じで応える類は、メープルのレストランで一番高いワインをオーダー。

「牧野、お前、俺と別れて間もないのに...類ともう同棲してるってどういう事だ?」
「別れて間髪入れずに、どっかの女と婚約したのは司じゃん」
「類、お前は黙ってろ!」
「俺と牧野は好き同士だからね、付き合って将来を考えたら一緒に暮らすでしょ」

「だから、お前には聞いてない...!」
 牧野、お前、本当に類のこと好きなのか!?」

「そうだよ。だから付き合ってるし、結婚の約束もしてる」

あたしが口を挟む間など無く、類がビシバシと応答。
道明寺がギリギリと奥歯を鳴らす。

「お前、花沢に就職するのか?」
「だから、そーだって、さっきも言ったろ? 何、聞いてたんだよ、俺の話」
「類! 黙れ! 俺は牧野に聞いてんだ!」
「結婚の約束もしてんだから、とりあえずうちに就職するの当然じゃん。さっきも言ったよね?
 ま、その後は俺に永久就職、なんだけど。 ね?牧野」

にっこりとあたしに笑顔を向ける類と、
「何が結婚の約束だ!」と、あたしを問い詰めるような道明寺と。

「牧野の卒業のタイミングで結納するんだ。 ね?牧野」

「うん......」

ようやくタイミングが回って来て頷くあたしに、道明寺の不機嫌顔。

「...そうか。 結局、お前は類なんだな」
「ま、そうなるね」
「...類っ、てめぇ...!」

ギロリとあたしを睨んだ道明寺だったけれど、類の調子に気は削がれた模様。

「司は? 入籍はいつにするの?
 俺たちより後になっちゃうかな?」

フフフッと笑う類は何だか愉しそうで、
春に結納はするけれど、具体的な入籍まで決まっていないと言うのに、
道明寺より先になるかも?なんて。

「俺は、もう年内には入籍するんだよ!」
「おめでと」

「おめでとう......」

類に続いて、あたしもお祝いの言葉を述べると、道明寺は口籠る。

「じやあ乾杯」

メープルで一番高いワインでお祝い。
少しだけ道明寺が可哀そうな気がして、ちらりと視線をやれば、
視界を覆ってくる類の手のひらが目に入る。


「司が牧野のこと好きだったのなんて知ってるよ」

類の手のひらがゆっくりと降りて行く。
その様を目で追っていた。

「牧野が司を好きだったのも」


類の膝の上に降ろされると思っていた、その手のひらは、
あたしの手のひらに辿り着いて、そっと触れられる。


「だから何だよ?」

呆れたような、不愉快の様な道明寺の声。

「だから、俺は、二人の友達でいられれば良かったよ」
「......」

「二人が幸せなら、それで良かった」


あのまま、あたしと道明寺が結婚をして、
そうしてそのまま送られていく未来に何の不満も未練もなかったと、
それは最初から最後までずっと同じ気持ちだったのだと言う。

類の手のひらは何故か冷たいあたしの手の甲を温めていて、
あたしは、この手にいつも助けられていたのだと、改めて思う。


「じゃあ、何で牧野と付き合ってんだよ?」
「好きだから」


何度も言っているだろうと応える類に、
道明寺は意味が分からないと言う風に顔を顰める。


「フンッ。 なんだかんだ言って、結局は狙ってたんだろ」
「バカ言うな。 狙ってたら、とっくに二人を別れさせてたし、婚約なんてさせてないよ」

「...んだと!?」と、カッカしてきた道明寺をぼんやりと視界に入れながら、
あたしは、ずっと、この手に守られてきたのだと、痛感する。


「司が牧野の手を離したから」
「...それは、仕方なかった」

別れ際の苦しそうだった道明寺は、もうここにはいなくて、
「ん。 わかってる」と応える類を見る道明寺は、あたしの良く知っている眼差しで。

「牧野が俺を好きになってくれたから」
「んだよ...それ...」


道明寺は一つわざとらしく大きく息を吐き出すと、
もう、この話は終りとばかりに、食事を始める。


「結婚式とか...披露宴、来るなよ」
「俺は行くよ」
「来るなって」
「行かない訳にいかないだろ」


俺だって面倒くさいと類はワインを注ぎ足す。


「牧野は来るなよ」
「行くわけないじゃん」
「だからっ、何でお前が応えるんだよっ!」


二人の遣り取りにクスッと笑って、口に運ぶ料理は、さすがに美味しくて、
隣の類を見たら、にこりと微笑んでいて、
それは、まるで、あの頃には既にこんな時間が来ることを知っていた風な笑顔で、
あたしはドキリとする。


「また類を好きになって良かった」

「「......」」


漏れるように落ちた呟きに、ハッとして顔を上げれば、
道明寺が太々しくあたしを見ていて、
隣から、類の小さな笑い声が聴こえた。





***





酔い覚ましだと雨上がりの夜のバルコニーに出る類は、
ミネラルウォーターを片手にお気に入りのアンティークチェアに腰掛ける。

「おいで」と、あたしを招くから、近寄れば、ストンと膝の上で抱えられる。
背中から聴こえる微かな類の笑い声はくぐもっていて、くすぐったい。

あたしの腰に巻き付けた腕と、肩にのせられている類の顔を感じて、
酔い覚ましどころか赤くなっていくあたしは、いまだこのようなスキンシップにも緊張気味。


「司が手を離したんだもんな」
「えっ?」

唐突な類の問いに僅かに振り向くと、一瞬にしてチュッと唇を奪われる。


「司が手を離して、掴む手を失ったんだもんな...牧野は」


振り落とされないように必死に掴んでいた手は、
呆気なく離されて、行き場を失ってしまったみたいだったと思い出す。


「それで、俺に手を伸ばしたんだもんな」
「...それで、じゃないよ」


道明寺がダメだったから類だったわけじゃないと、少し睨んでみても、
クスクスと愉快そうに類はあたしの耳にかかる髪にもキスを落とす。

腰に回っていた手を解いて、後ろから頬に触れられて、
ゆっくりと後ろに傾かせるように誘導してくる。


「牧野の手は俺に伸ばされてたよ」


目を閉じるタイミングを失ったあたしの唇に重なるのは、

「だから、捕まえた」

と、掠れたような声で囁く言葉と同時で。



「離さないでね」



震える声で呟くあたしは目を閉じる。
頬に添えられた手と、あたしの手のひらを強く優しく握る手と、
重ねられる優しいキスは、
やっぱり、こんな時間も、まるで最初から知っていたような気がした。








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category: First crush

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First crush 10 

Chapter : 10





牧野家に類と類のお父さんが挨拶に来て、
春、フランスに行く前に結納をすることが決まった。
結婚は、いずれ......。



類が幾ら初恋からずっとあたしが類のことを好きだったと言っても、
あたしと道明寺が付き合っていたことは事実で、
類のお父さんが知らない訳は無いのだけれど......。

何故か、

「息子のことをこんなにも長い間、好きでいてくれただけでなく、
 これからも好きでいて頂けると言う事で...」とか、言い出したから、
また、口を開けたまま固まってしまったのは言うまでも無い。

威圧感半端ないし、一見冷たい印象にこわいような気もするのだけれど、
このズレた感じ、類に似ているような気もするし、
そもそも、類も一見冷たそうに見えるから、まあ、親子なんだろうなとも思ったり。





***





「は? お前の両親に挨拶をした?」

最近は大学と研修と、その他にもフランス語を習いに行ったりと、
何だかんだと忙しいあたしに、新たな指令が下され、今日は西門邸にお邪魔している。

お茶のお稽古は西門さん直々。

稽古終わりに足を伸ばすあたしに、西門さんはまた少し驚いている様子。


「類も必死だな」
「そう?」

「そうだろ。...と、そんなことよりも。
 ちゃんと、目つむったみたいだな」

そろそろ教えてくれよと、ニヤリとして聞いてくる。
まあ、西門さんのアドバイスのおかげであることは否めない。


「どこでどんなふうに?」
「...家のバルコニーだけど」

「は......?」
「なに? おかしい?」


何故か、ややフリーズ気味の西門さんに首を傾げる。


「バルコニーって...外だろ」
「まあ、外と言えば外だけど...プライベートスペースだしね」


そこがどこでも構わないほどに、不特定多数とキスをしまくってるであろう西門さんに、
こんな驚愕の表情をされる筋合いは無いと思う。


「え? バルコニーで、どう、目をつむったんだよ?」

「そんなことまで聞く?
 ...べ、別に、普通なんじゃない? 類が、後ろからこう...あたしを囲う感じで... /// 」

「うしろからか!?」

珍しくポーカーフェイスを崩す西門さんを怪訝に思う。

「え...なに?」

顎に手を当て、思案顔の西門さんは、暫しの後に、
「ふ~ん」と、流し目。


「な、なによ? 普通でしょ、別に」
「そう...だな...。 まあ、がんばれ」

「はあ?」






















最初の研修先はセキュリティー部門で、
教育の一環でもあるのだろうけど、中々に大変である。


「大丈夫? いじめられてない?」

聞きなれた声に、慌ててモニターを見ていた視線を横にやれば、
心配そうにあたしを覗き込む類と目が合って、思わず仰け反る。

そんなあたしの背を支えて、にこりと微笑むけれど...あの...今...研修中なんですが......。
類を凝視したまま固まるあたしの上下の唇をつまんで閉じる。

「近くまで来たから寄ってみたよ。 誰にも嫌がらせされてない?」
「さ、されてないよ!」

慌てて応えるあたしだけど、
多分、今、あたし以外のここにいる人たちが、みんなビビっていることは感じる。


「何かされたら、ちゃんと言うんだよ? いいね?」
「...は、はい......」


颯爽と退出していく類。
居たたまれない気持ちで俯いていたけど、そろりと顔を上げて周囲を見渡せば、
8割がたポカン顔。
仕方あるまい。
そのような反応になるのは。


「ま、まま、牧野さん!」


小走りで近寄って来た課長に、
決してあたしは虐められていないと言っておくようにと釘を刺され固まる。





***





花沢物産の社長の一人息子の恋人である牧野つくしは、
既にそこそこの有名人 (? )らしく、最初の頃はあたしを見にくる人が絶えなかった。

もちろん、陰口はあるだろうし、
普通に聞こえるように嫌味や悪口を言われた事だってあったけれど、
それは、もう、高校、大学で経験済なので、いちいち落ち込んだりはしていない。
ただ、気分は良くないし、慣れるものではない。

研修先に類が顔を出すようになったのは、そんな事が起こり始めてすぐ。
定期的に顔を出して、いじめられてないか、嫌がらせはされていないかと、
牽制よろしく周囲をぐるりと見渡すのだ。



「類、あたし、いじめられてないからね」
「ん。 それならそれで良いんだよ。 いじめられないのが普通だからね」

「課長にね、いじめられていないってちゃんと言っとけって言われて...」
「......」

「だから、もう、顔出さなくても大丈夫だよ」
「......」



まあ、陰で何かしらは言われているのだろうけど、
そこまで気にしていたらキリがない。



「類は今日も得意先回りだったの?」
「ん...」


就寝前のハーブティーは花沢邸オリジナル。
庭の一角のハーブ園で育てられている様々なハーブをシェフさんが独自にブレンド。
もちろん、類の好みに合わせられている。

ソファーの上で一息。
隣の類は相変わらずあたしの髪を撫でているけれど、珍しく大人しい。
チラリと様子を伺えば、思いめぐらすような表情で。


「どうかした?」
「...ん? いや......
 ああ、そうだ、司に言っとく? 俺たちのこと」

思い出した様に言われて、「ああ、そうだね」と、あたしも思い出して返す。


道明寺は、世界情勢の荒波に抗ってはみたものの、
結局は、守るべきものはあたし一人ではない立場と現状から、
あたしとの口約束だったけど、婚約を解消。

彼は今、日々の仕事に加え、自身の結婚準備にも忙しいことであろう。


「後悔してないよね? 司とのこと......」
「してないよ。 まあ、いい思い出だよ」

「いい思い出?」
「うん。 類のおかげだよ。 いい思い出だと思えるのも、いい思い出になったのも」


振り返れば、ずっと、類を好きだったことは事実。
その想いを、恋と呼ばなくなってからも、ずっとずっと好きな人だった。

道明寺のことは、好きだった。
色々あったけれど、その度に類が傍で支えてくれたから、
今では笑って話せることばかりだし、
いい思い出としてあたしの心に残っている。


「初キスの相手だしな」

わざとに拗ねたように言ってくる類に、
自分には「関係ない」と、鼻で笑ってきたのは類の方だと応戦。


「好きになってくれたら、キスしてあげるって、あれ、どうして?」

告白もなく、慣れた男みたいなことを言われたなと急に思い出して問い詰めれば、
出会って間もない高校生の頃、
あたしの頬に軽くキスを落としたことを憶えているかと聞かれる。

「あの時、俺に初恋してただろ?」

街中の壁に貼られたポスター。
それにキスをしていた 類を思い出す。

「かわいーね。 ビックリしちゃってさ...って、その後の一言一句まで憶えてるけど?」

ジロリと睨んでみる。



" こうしてほしいと、思ってただろ? "



「その気持ちを思い出して欲しかったと言うか......」


「もう一度、好きになって欲しかったから」と、類は続ける。

ちょっとズレ過ぎていて、
あたし的には、あんな言い方さえされなければ、
もっと早くにあたしと類はキスに至っていたような気もする。



ずっと好きだったのは、恋でも、友達としてでもないかもしれない。



「恋の延長は、愛でしょ?」



さも、当然の様に言ってきた類に驚く。

類があたしを支えてくれていたのは、
そこに愛があったからだと、
大切な友達だからとか、自分が辛い時に支えてくれたからとか、
理由をつけるなら幾つでもあるけれど、
単純に、それは「愛」なのだと、臆面もなく言ってくる。


「その愛を知ったのは、牧野に恋をしたからだよ」


恋を知り、愛を知ったと笑う、この初恋の人を、
やっぱり、あたしは、どうしたって、
ずっと、ずっと、大切で、好きなんだろうなと思う。


赤くなった頬を両手で包まれて、
逸らせない瞳に、そっと瞼を落とす。

優しい唇の触れ合いの後に、
ゆっくりと、瞼を上げれば、正面の類の瞳がとても綺麗。


「愛はね、いろんなかたちがあるんだよ」


まるで、それを教えてあげるとばかりに、
そっと近づいてくるから、また、あたしは、目を閉じる。









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category: First crush

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First crush 9 

Chapter : 9





「髪、伸びたね」

ソファーの上。隣の類はあたしの髪を弄ぶ。
指にくるくると巻き付けては放し、巻き付けては放し......。
時折、首筋やデコルテに唇を寄せてくる。

「ちょっ... /// ちょっと... ! /// 」

あたしの抗議の声も振り払おうとする手も制されて、
類の緩みっぱなしの頬と、転がるように揺れるビー玉のような瞳と。



春が来て、類は花沢に正式入社。
あたしも花沢物産本社で研修中。
この1年で3つの部署で研修をするように言われている。



二人揃っての休日の午後。

「類...研修のことだけど......」
「なに? いじめられたの?」

心配そうに聞いてくるけど、そうではない。

「あんまり目立ちたくないし...類と付き合ってる事も伏せておきたいって、あたし言ったよね?」

ちらりとあたしを見て溜息。
「...無理だろ」と、呟く。

「なんでよ?」
「社長の息子の将来の奥さんだよ? 知らせない方が後々不味いだろ」


社長の息子の彼女。
そう見られるのが嫌だと思うのはあたしの我儘だろうか。
まあ、実際、社長の息子の彼女ってだけで内定貰ってるんだけど。


「牧野の気持ちは分かるよ...でも、俺のこと好きなら考えてよ」
「...え?」

「好きじゃないの?」
「すっ...すす好きだよ /// 」


あたしの髪に指を通す。
黙ったまま見つめながら。
目を閉じる前に口付けが落ちてくるようになったのは最近のこと。


「...好きなら我慢しろとは言わない。
 でも...俺と付き合って、いずれ結婚をするってことは......」


ほんの少し言い淀む。
類の指先が触れている頬が熱い。


「ごめん...押し付けすぎたかな?」


離れて行く指先と、
躊躇いがちな視線。


押し付けられていると感じた事は無い。
ただ、類の彼女が自分であることに、どこかやっぱり不安と言うか、遠慮と言うか......
躊躇いがあるのは、きっと、あたしのほう。


「そんなんじゃないよ。 ただ、ちょっと...恥かしくて」


笑顔を向けても、あたしの心を見透かしてしまう類の表情は寂しそうで、
でも、すぐに、
「俺と付き合ってるの恥かしいってなんだよ? 失礼だな」と、
類も笑って合わせようとしてくる。





***





類をまた好きになって、付き合って......
あたしの人生は決まって行った。

それが不服なわけではない。

もっと若い頃のあたしだったら、あたしはあたしであると、
誰かの思惑や言いなりになったり、決められたレールの上を歩いて行くなんて、
そんなことは負けを認める事になるような気がして、対向していたけれど、
そもそも、負けでは無いし、
例えば負けたって良いのでは?と、思うようになったのも類と付き合ってから。

類は、そういう、ごちゃごちゃしたものに余り興味が無い。

否、本当はあるのかもしれない。
そうでなければ、ここまであたしとの交際を整えて歩きやすいようにしてくれるわけがない。



" 好きだったら、結婚できるだろ "



昔、当時付き合っていた男に言われたことがある。
最近、よく、その言葉を思い出す。

好きだったけど、結婚できなかったな、と。



類は結婚にとても前向きだと思う。
焦っている様子は無く、着々と予定通りにことを進めている感がある。
ただ、あたしの態度と言うか...そういったものには相変わらず敏感で、
類の恋人であることを隠したがるあたしに、最近は少し落ち込んでいる様子もある。


類と類のお父さんとの交渉は成立していると言っていたけれど、
その交渉内容は、あたしたちの付き合いを重ねる度に、小出しの様に類が言ってくるので、
一体どこからどこまで交渉しているのかは謎のままである。

ただ、「交渉は成立しているから心配しないで」と。
花沢に就職をして、秘書課に勤務すること...そのための準備は色々と大変だけど、
「何でも言ってね。 何でも協力するからね」と、類は優しい。
「卒業したら、一緒に海外赴任するからね。 いいよね?」と、これは、多少、強引だったけれど。





















「牧野さん?」

その日の研修業務が終了し、帰宅すべく広く開放的な1階のロビーを歩いていると、
声を掛けてきたのは、去年までバイトをしていた花沢物産の子会社で上司だった人。
あの送別会の主役だった彼...笠原さん。

本社の食品本部で営業を...とか、言っていた気がする。

「あ、笠原さん? お久しぶりです」

ぺこりとお辞儀をしながら、不思議そうに見つめる彼に、
内定をもらって研修をしているのだと言えば納得したように頷く。

「今日はもう終わり?」
「はい」

「じゃあ、食事でも行く?」

流れるように誘われて、一瞬、反応が遅れるあたしを笑う。

「牧野さんにさ、聞きたいこともあるんだ」
「な、なんですか?」

警戒心を持って聞き返せば、少し口元を歪めた後に、
「花沢のお坊ちゃんのこと」と、小声で、そして、また笑う。

類のことをべらべらとあたしが話すわけなどない。
少しムッとしたのが表情に出たのか、
「あ、別に探りを入れようってわけじゃない」と、否定する。

「牧野さんとの関係が気になるって言うか...」



「それなら、結婚の約束もして同棲してるけど」


声をした方を向けば、どうやって、こんなにも気配無く近づいてきたのか不思議なほどに、
左前方には類がいて、あの日と同じように彼をジロリと睨む。



「牧野、こっち」



ポカン顔のあたしに、手で合図。
従うよりないあたしが、笠原さんにペコリとまたお辞儀をして、
類の背中を追えば、その向こうに...威圧感丸出しみたいなオーラ......

あ、あれは...
研修の最初の頃に配られた社報とかカタログとかHPで見た事がありますが、
あのお方は......
社長ではございませんか!

認識した途端に足が止まる。

ふと振り向いた類が、やや早足で近付いてくると、
「口、開いてるって」と、あたしの上下の唇をいつもの様に指でつまんで閉じる。


「父さんが、一緒に食事しようって...急だけど、付き合ってくれる?」





***





「はじめまして」と、挨拶をした以降の記憶がほとんどない。

とりあえず笑ってれば大丈夫だから...と、料亭への車中で類がこっそりと言ってきたから、
全くその通りに、0から100まで全てにおいて笑って「はい」と返事をしておいた。





「疲れたよね? ごめんね、急に...」

帰宅すると類はあたしを猛烈に気遣う。
その内に紹介するつもりでいたけれど、突然の呼び出しに類自身も慌てたのだと言う。


「それで...さっきの男って、前にも牧野の連絡先を聞こうとしてたやつだよね?」
「え...っ?」

そっち!?
と、驚く。

「父さんも言ってただろ? まだ研修中の学生に手を出すなんて恥知らずなやつだって」

...言っていた......ような気がする。

「今後もああいったことが無いとは言えないから、ちゃんと俺に言うんだよ?」
「う、うん...」

「その場ですぐに応えたりしちゃダメだよ?」
「......うん」

僅かに首を捻りながら頷くあたしの肩を抱いていた手が、
ゆっくりと髪に触れて、耳朶に到達。

「牧野のご両親への挨拶だけど...週末で良いかな?」
「へっ?」

あらゆる意味で驚いて声を上げるあたしを、類はクスッと笑うのみ。
都合が悪いようなら来週でも良いとは言っていたけれど、
そうなるとフランスから帰国しなければならないし、
最悪、仕事の関係で帰国できなくなる可能性もあるから、
出来れば週末どうかな?と。聞いてみてね。と。


「う、うちの両親...に?」


薄っすらと思い出される数時間前の記憶の中で、
確か、類のお父さんはあたしのことは類から一人暮らしのプロだと聞いているとか言っていた。
何それ!?と、思ったけれど、笑顔で「はい」
家事全般が得意で、業者には一切頼んでいないと聞いていますなんて、
普通は普段から頼んだりしないのよ...と、思いつつも、笑顔で「はい」
類のことは高校生の時に初恋をしてからずっと好きでいるとか?とも聞かれたような......
ずっとでは...と、言葉を濁しそうになったけれど、とりあえず笑顔で「はい」

そういった流れで、
来春の大学卒業後は類と共にパリへ赴任する事になるけど、両親は知っているのかと聞かれて、
まあ...笑顔で「はい」と、応えたよね......。
知らないんだけど。
あの両親が渋るわけもないし、この辺は別に良いかな、なんて思っていたのだけれど、
それが、そうであるなら、早々に正式に挨拶に伺いたいとか何とか......。


ハッとして類を見れば、
あたしの唇の上下をつまんで閉じる。


「父さん、嬉しそうだったな」
「え...?」


これから研修に加えて色々と覚えてもらう事が多くなるけど大丈夫ですか?ってのには、
そりゃあ、笑顔で「はい」と応えるよりないよね。


「周囲の好奇なだけじゃなく厳しい目にも晒されるし、
 時には不本意だったり理不尽なこともあるとかさ、
 多分、ちょっとは脅し的なつもりもあったんだろうけど、
 牧野、全然、動じないんだもんな」


ぷぷぷっと笑う類に、
「類が笑っててって言ったからでしょ」と、睨んでみても、
「あんなに動揺してない牧野見たの初めてだよ」と、笑いは止まらない様子。


動揺だらけだったよ。
でも、もう、頭真っ白だし、笑顔で「はい」と肯定する以外の何も出来なかったのである。


「しまいにはさ...」
笑いをかみ殺しながら、類があたしを面白そうに見つめる。

「だって、あたし、
 花沢物産の社長の一人息子の彼女なんでしょ?って、言い出すから...俺、もう......」


アハハと笑う類を横目に、思い出すのは、
類のお父さんも、何故か驚いた後に、類と似たように笑いをかみ殺していたなあということ。









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