Whatever

花より男子 二次創作小説 CP 類×つくし

 

First priority 3 

Chapter : 3





「牧野様と花火を見に行かれるのでしたら、応急セットをお持ちになるとグッドですよ」
「は?」

「牧野様は浴衣で来られるのではないでしょうか? 花火デートと言えば女性は浴衣が定番です」
「......」

「履き慣れない下駄は足が痛くなりますし...私も若い頃に妻とデートをした時にですね、
 慣れない下駄で妻が足を痛めてしまいまして...
 絆創膏や消毒液を用意していなかったものですから......」

今は便利な世の中になりましたね...と、コンパクトな応急セットを類様に差し出す。
中々、受け取らない類様に、「どうぞ」と、再度、グイッと差し出せば、
大きな溜息の後に「いらない」と、ピシャリと言い放ち、クルリと背を向ける。

「類様、荷物にはなりませんから! 備えあれば憂いなしですよ!」
「...足を痛めて治療が必要なほど連れ歩くかよ、バカ! お前と一緒にすんな!」

「そうではなくてっ! 慣れない下駄で...!」
「だから、慣れない下駄でそんな歩かせるわけないだろ!」

「何が備えあれば憂いなしだ!」と、「応急セットを持ち歩くデートとかバカかよ!」と、
相変わらず口の悪い類様は、イライラしたご様子。

「田村、お前は何も、本当に何も気を遣わなくて良いから。
 俺の仕事のフォローに専念して。頼むから」





私が類様にお付きになって早10年超。
内向的で大人しいお子さんであった類様も、現在は花沢の後継者として目覚ましい成長ぶり。
やはり、恋人の存在は大きいと痛感しております。


「司君が?」
「はい。 アポ無しで訪れまして、類様と牧野様のことで、やや不機嫌なご様子でしたね」

「何故? 今更だろう」

社長の疑問に大きく頷く。

道明寺司様は、私が知る限りでも、幼少時から類様を凌駕する我儘ぶりで、
自分の思い通りにならないと暴れ、自分が気に入ったものはどんな手を使ってでも奪い、
金と権力を振りかざす子供でございました。

以前の類様は遠慮...と、言いますか、強く踏み込めないところがあったようですが、
本日の類様は、道明寺様に威嚇されても凄まれても余裕綽綽の態度でありましたよと報告。

「自分の不甲斐なさで一度は寄り道をしてしまった牧野様も、本来のルートに戻ってきたと、
 そう、落ち着いて申し上げておりまして...頼もしかったですよ」

最近は類様の背中が一回りも二回りも大きく見え、
花沢の次期後継者としての風格も出てきたように思います。

「類には花沢家の男子として、幼少時より様々な教育を受けさせてきたからな」

社長は類様が幼少の頃より、ご自分の後継者として、それはそれは並々ならぬ期待を掛けておられ、
無論、たったひとりの息子と言う事もございますが、何せ、類様は非常に出来が良いのです。

社長の自慢の息子なのです。


道明寺様のところは、年内にまとまるとのことで、社長はさほど気にされていないご様子。
ただ、若気の至りとはいえ類様の暴走により、
牧野様が無駄な寄り道をしてしまったことは気にされているご様子。


「類はその辺のフォローはしっかり出来ているのだろうか」


あの、17歳の類様の暴走は、花沢が大騒ぎになりました。
ふらりと出掛けた類様が、パリに飛んでいたのは、多少驚きましたが、
気分転換、小旅行だとばかり思っていたところで、まさかの女性を追いかけての行動。
しかも、その女性、藤堂家のご令嬢のアバルトメントに滞在し、男女の関係に発展。

大騒動でした。
花沢始まって以来の。
何せ、藤堂家を出たお嬢様と...ですから、駆け落ちみたいなものでしたし、
素直と言う訳ではあませんでしたが、
これまで大人しく過ごされていた17歳の類様の突飛な行動に、
誰もが慌てましたし、一体何がどうしてここまで...!と......。

一月ほどで帰国した類様ですが、社長の怒りは凄まじいものがありました。

好き? 一月で戻ってくる程度だろ!と。
自信喪失する前に、そもそも親の金で追いかけたことに気付け!馬鹿者!と。

安易な行動は、将来の自分に圧し掛かってくるのだと、
その覚悟はあるのか。と。

恐らく、失恋...と、言いますか、傷心していただろう類様なのですが、
父親からの怒声混じりの叱責に、より一層、肩を落とされ、
それでいて恨めし気に口をとがらせておりました。


「類様は多くを語りませんし、口下手なところもありますから...」

下手なりに口にして、墓穴を掘ることも予測できるだけに、社長も頭を捻る。
資質に加え幼少時からの教育もあり、
現在のところビジネス上での類様に大きな問題は無いように見えますが、
対牧野様=恋となると、途端に戦闘能力が落ちる傾向があるのは否めません。

それでも、道明寺様に真っ直ぐと対峙していた類様は立派でした。

「まあ...暫く様子を見てみるか」
「はい。また、ご報告させていただきます。
 ...あ、どうやら類様、婚約指輪について悩んでおられる様子です」

「類の口座に少し足しといてやってくれ」
「かしこまりました」





***





「類様、映画の後は夜景の見えるレストランでお食事、シャンパンに指輪を浮かべ...」
「や、ナイから」
「ケーキの中に入れますか?」
「...もっとナイから!」

婚約指輪をオーダーする気配のある類様ですので、
プロポーズのシチュエーションも大事ですよとお話していたところ、相変わらずの不機嫌顔。

「大々的にしますか? なんでしたっけ? 今流行りの...突然、その辺の人たちが躍り出し...」
「絶対ナイから!」

目立つことは苦手な類様ですが、男子として最大の見せ場であるプロポーズ。
しっかりと完遂させて頂きたい気持ちは強い。

「田村、マジ、俺と牧野のプライベートには介入してこないで。 頼むから......」






















お恥ずかしい話ですが、我社の女子社員の中には牧野様のことを妬み、
子供じみた嫌がらせをする者も多く、私と桐ケ谷で日々目を光らせてはいるものの、
逆に牧野様に好意を寄せる男性社員もあちこちに現れ、正直なところ、限界でございました。

「トゥールーズの件、類は手こずっているのか?」
「はい...。 先方との折り合いが中々......」

腕を組み、類様一人に任せるにはまだ早かっただろうかと考え込む社長に、
思い切って進言を試みたのは、そんな限界状態に類様ご本人もいたからである。


「類にはお前次第だと言っておいたんだがな......」
「はい、類様は毎日、牧野様をお守りすべく気を張ってらっしゃって、
 定期的に牧野様の様子をうかがいに足を運んだり...」

「そう言う事では無いのだかな」


呆れたよな視線で溜息を吐くのは、類様にそっくり。
否、むしろ、類様がこの仕草をするのは、父親譲りなのでしょう。

「もういい。 類を呼べ」





***





類様は父親である社長を苦手としていますが、
牧野様との交際に向けての戦略会議では、類様は社長の意見をよく聞いておられました。
同い年の友人が3人いるのみで、他に親しい間柄の人間関係も築いていない類様ですから、
恋愛相談をする相手がいなかったのもあるでしょう。
幼馴染に相談するなど、格好がつかないと思っているようでしたし。


「類様、5年前が嘘のように大人になられましたね」
「は?」

「5年前と言えば、類様の駆け落ち事件ですが...」
「ばっ...か! 何言ってんだ! 俺はそんなことしてない。バカなこと言うな。
 牧野の前で言ったら、俺、手首切るからな!」

「大袈裟ですね、類様。
 良いのですよ。若い頃は恋に躓くものですから」

「黙れ!」


躓いてなどいないと、
むしろ、牧野様の初恋をスルーしてしまった結果、躓くことになったのだと、
お前はバカか!と、珍しく饒舌な類様が、相変わらずの口の悪さで、
私の胸倉を掴む勢いで捲し立てる。


「牧野様の初恋をスルーして、駆け落ちでしたか...
 それは、まずいことをしましたよね...17歳の類様は...」
「うるさい! もう喋んな! 黙ってろ!」

「初恋は生涯に一度きり、ただ一人だけなんですよ」

それをスルーされた挙句、他の女と駆け落ちなど...と、ジロリと類様を見れば、絶句され、
みるみる顔を青くし、肩を落とす。

少し意地悪が過ぎたかと反省。

「牧野様は初恋の人のお嫁さんになられるんですね。
 うちの妻も言ってましたよ。 女性の憧れのストーリーだと」

...るさい。 もう何も言うな。黙れ。喋んな


社長も私も、花沢のお屋敷で働く者も、皆、知っていますよ。
類様の初恋が牧野つくし様であったこと。


「避けては通れない道ですよ。初恋の道程は」
「......」

「類様の初恋は17歳ですかね。 少し一般平均からは遅かったですね」
「......」


類様が初めて、守ろうとした女性。
類様が初めて、デートに誘った女性。
類様が初めて、自宅へ招いた女性。
類様が初めて、探した女性。
類様が初めて、迎えに行った女性。

類様が初めて、付き合いたいと言った好きな女性。
類様が初めて、結婚をしたいと言った好きな女性。



「どんな感じなんですか? 初恋の女性とお付き合いしているというのは」
私の初恋は儚く散りましたので...と、教えてくださいよと言えば、
「なんなんだお前は」と、「黙ってろ、バカ!」と、口の悪さは中学生の頃から。


「ご安心ください、類様。
 この田村、牧野様には余計な事は喋りませんから」

「当たり前だ! 余計な事言ったら、俺、お前の目の前で舌噛んでやるからな!」

ハハハと笑えば、
「何が可笑しいんだよ!」と、「笑うな!」と、不貞腐れる類様の口がとがる。


「類様、結婚へ向けて、細大漏らさずですよ」
「...わかってるって」

「プロポーズをする日が決まりましたら、早めにお知らせください」
「は?なんでだよ!?」

「スケジュール調整が必要ですので」
「言わねぇーよ! なんで、プロポーズをスケジュールに入れられなきゃなんないんだ」

「準備がありますでしょう? 急な案件が入ったら困りますでしょう」
「困んなよ。それを調整すんのがお前の仕事だろ! 優先事項忘れんなよ」

「分かってますよ。 我社のファーストプライオリティですよね」
「そうだ。トッププライオリティーだ」


苛立ちのまま、乱暴に執務室を出て行く類様。
牧野様をお迎えに。



初めてお会いしたのは、ただ、大人しいだけのお子さんでした。
教育係とは言っても、大体のことはマスターされており、
お教えするのは花沢物産の歴史や多岐にわたる事業等、まるで新入社員研修。

口数が少ないどころか、ほぼ声を発せられることもありませんでした。

それが今では口悪く私を罵ります。大声で。



良い事です。
類様の成長は花沢の成長。

類様の願いは花沢の悲願。



「類様は本日はもうお帰りですか?」
秘書室に戻ると、今年のクリスマスに向けた資料を手にした桐ヶ谷さんに問われる。
類様は社長と牧野様とお食事に向かわれたと、
桐ヶ谷さんも切りの良いところで退勤するよう勧める。

「...あの、田村部長。 類様は牧野様以前の恋人とはどのような交際を...?」
「は?」

思い巡らすような表情の桐ヶ谷さんを思わず凝視してしまう。

「いえ...。 少し気になったものですから......」
「いませんよ」
「は?」
「類様に恋人が出来たのは牧野様が初めてですから」

まさか!と言う表情のまま固まっている桐ヶ谷さんの肩に手を置く。

「類様にはその手の話をしてはいけませんよ。
 最初に言ったでしょう。 類様は高校生の頃から牧野様を想われておいでだと」


心なしか青ざめている桐ヶ谷さんを不思議に思いつつ、
「来週のトゥールーズの出張、1名追加しておいて下さい。牧野様の分です」と、
指示を出しておく。

「ま、牧野様ですか?」
「はい。桐ヶ谷さん、この機会に少しお休みになって下さい」


パリの花沢邸で、社長はきっと、牧野様とお話をするおつもりなのでしょう。
口下手な類様に代わって。


類様の結婚は花沢の未来。
花沢の未来は、牧野様の手のひらの中。


限られたものだけが知る花沢のファーストプライオリティ。










Fin.
















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コメント

Re: タイトルなし

チュンsukeさま
類くんが口悪くここまで言える人間って田村氏だけかと。
そして、彼はそれを喜ばしく思っているw
子供の頃の類くんを知っているからかなーとか。
類父もね、一人息子に甘すぎですよね。
でも、仕方ない、念願、待望の後継ぎ...親ばかにもなるw
つくしちゃんとの食事は、類父なりの息子フォローだったのでしょう。
楽しんで頂けて良かったです。
いつもコメントありがとうございます。

URL | so #-

2019/08/10 00:47 * edit *

Re: タイトルなし

麦猫さま
お疲れさまです(_ _)
末っ子長男ね。
私個人的には一番厄介な男という認識ですねw
何故なら、私の弟がそうだからw
年が離れているせいもあって、親にはアホほど大事にされてましたからね。
今年もお盆がやってきましたねー。
日焼けと熱中症にはお気をつけ下さいね。

URL | so #-

2019/08/10 00:35 * edit *

Re: タイトルなし

きょん!さま
類くんの口の悪さ、田村さんと似た心境で微笑ましく思って頂けて良かったです。
子供のような脅しが田村さん的には可愛いのでしょうなw
あー、たまにいますね。二次から入って二次しか知らないって方。
それでも類つく派w ありですよ。全然w
イタズラなKissね...好きよ、その漫画。
元祖ツンデレ男の入江くんね。
私的には花男とイタKissは少女漫画の二大巨塔だと思ってますw
3本柱にするなら、そこにI LOVE HER入ってきますねw
花男は元祖逆ハーですからCPそれぞれに生まれちゃいますよね。
類つく以外のCPって全然どんな感じか分からないのですが......(・・;
コメントありがとうございました。

URL | so #-

2019/08/10 00:25 * edit *

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| #

2019/08/09 14:58 * edit *

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2019/08/09 09:52 * edit *

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2019/08/09 08:20 * edit *

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