Whatever

花より男子 二次創作小説 CP 類×つくし

 

チョコレートの味(2020VD) 






ふわぁっ......と、噛み殺した欠伸。

「もうっ! 話してる人の目の前で...失礼だよ!」

ジロリと正面の牧野が俺を睨む。

午後の日当たりの良いカフェテラス。
牧野のお喋りは、最近のチョコレート事情で、全く興味が無い。
ただ、その声が心地良いから、つい、眠くなる。

不貞腐れてる牧野に、「ごめんね」と、謝って、
「それで?...牧野は誰にそのチョコあげるの?」と、聞く。

「あげないよ」
「......じゃあ、何をそんなに熱弁してたのさ?」

呆れ返って見つめるのは、学生時代より大人びた輪郭。
肩にかかるか、かからないぐらいのストレートの黒髪。

「だから、この時期にしか買えない、まるで宝石のような...!」

また、ウットリとチョコレートについて喋り出す。

チョコレートの祭典がどうの、何とかって言うショコラティエの限定品がどうの、
日本では今しか、そこでしか買えない云々、今年はルビーがどうでああで......。

誰かにあげるためではなく、自らへのご褒美としてのプレゼントなのだと、
高級なので一つ...否、今年は二つほどチョイスしたいと、うふふ...と、微笑む。

そもそも、今日、今、牧野と俺は半年ぶりの再会。
俺の仕事は欧州が中心で、パリに在住しているから、日本へは年に数週間程度の出張で訪れる。
そして、その度に俺は牧野と必ず何とかして1度は会うようにしていて、
今日はその貴重な半年ぶりの時間。

「あーあ、もっとお給料あったら、あのチョコも買えたのになあ...食べてみたかったなあ......」

低所得でもあるまいし、自分の意志で節約をしているのに、
高級チョコは1万円までしか買えないのだと嘆く。

「......わかったよ。 買ってあげるから」
「いいの!?」

間髪入れずに期待に満ちたキラキラとした大きな瞳。
思わず頬が引き攣る。

帰国前に、お土産いる?なんて、連絡をしたら、案の定、いつものごとく、
何もいらないよーなんて言っていたから、牧野が遠慮しないように、" プチギフトにピッタリ " と、
紹介されていたオーガニックのハンドクリームを買って来て渡したのは40分程前。
まあ、それはそれで喜んでくれたのだけど、
つまり、牧野は、俺にチョコレートを買ってきてほしかったわけで......。

確かに、何もいらないよーとは言っていたけれど、
「チョコ食べたいなあ」とは、言っていたのだ。

チョコ? 相変わらず、すぐ食べ物の話を...と、俺は聞き流してしまったのだ。
全く、俺という男は気が利かない。


「じゃあ、今から買いに行ってもいい?」
「いいよ。 上限の制限はないから、好きなだけ買ってあげる」

「あ、そーゆー金持ち風吹かせるのやめてよー。 感じ悪いよ?」
「......」


経済力をアピールしたつもりが、感じ悪いと言われて、言葉も無い。






















バレンタインディナーは鉄板焼き。

「目の前でステーキを焼いてもらいたい」
「あのお酒をシャッとして、炎が上がるところ動画に撮りたい」と、
牧野に前のめりでリクエストされた。

そして、今、牧野は携帯を構えている。

「類も撮って」
「......やだよ」
「お願い」
「牧野が撮るならいいだろ」
「別アングルのも欲しいから。 お願い」

真顔でお願いをされて、固まる俺を見かねた店員が、
自分が撮影するから、お二人はゆっくりとお食事を......と、慌てた様子。


チョコレートは幾つか購入。
後々、実はあれが欲しかったとか、本当はあっちが良かったとか言われかねないので、
牧野が手にしていないものも適当にピックアップした。

「買い過ぎだよ...」と、顔を引き攣らせていた牧野だけど、
「本当に全部貰っていいの?」と、最終的には、「ありがとう」と、照れたように微笑んだ。



類......
「ん?」
このお肉、やばいね

コソコソと言ってくるから、牧野の肉に何か問題が?と、覗き込めば、
こんな柔らかい...溶けるよ...このお肉......」と、しっかりと俺を見つめて頷いてくるから、
少し笑ってしまう。


「類、いつパリに帰るの?」
「来週かな」
「もう1回ぐらい会える?」
「うーん......頑張る」


あたしに会う時間を作るために頑張らなくて良いよと笑うけれど、
また会いたいなんて、可愛いから。

こんな可愛いことを言うなんて、学生時代の牧野からは想像もつかないけれど、
ぱくぱくと美味しそうに海鮮を口に放り込むように食べる姿はあの頃のまま。


「俺、チョコ欲しかったな」
「え? 類、チョコ貰ってないの?」
「......牧野、俺にくれてないじゃん」

チラッと牧野を見て、わざとらしくフンッとすれば、
何故か驚愕の表情でナイフとフォークを持ったまま固まっている。

類は、いっぱい貰ってるのかと......
甘いもの苦手だし......

少し俯いて、ボソボソと言い訳のような牧野の声も気持ちが良い。

「あ、笑ってる。 また、揶揄ったのね」

頬を膨らませて睨んでくるけれど、
俺が笑ってるって気付くのは、きっと、牧野だけなんだよな。

そもそも、俺が笑ってしまうのは、牧野だからなんだけどな。






















牧野の部屋の前まで送って、一度、車から降りると、
両手に抱えた紙袋をガサガサさせて、
「あ、あの...これ...貰いものなんだけど......」と、何故か一つを俺に差し出してくる。

「......類、チョコ貰ってないんでしょ?」

貰いものって......俺が買ってあげたやつじゃん。
ほんと、牧野ってデリカシーの欠片も無い。

呆れを通り越して、思わず夜空を仰ぐ。

「だ、だって、あたし、今日何も持ってなくってね......」
「......だからって、普通、貰ったものをあげた本人に渡してくる?」
「......だよね。 ごめん」

別にチョコ欲しい訳じゃない。
牧野の言っていた通り、甘いものは苦手。

「だからパリに帰る前に、何としてでも頑張って、もう一度あたしに会う時間を作って...!」

「......」


その懇願に頭上にあった夜空の星が全部、落ちてきたような衝撃を受ける。


「今日は何も用意していなくて......」と、俯く牧野。


「......いいよ。 それで」

そう、そっと指差せば、
「あ、いいの?」と、意外そうな表情。

「うん。 それ、欲しい」


再度、差し出された紙袋をスルー。
両手が塞がっている牧野をそのまま抱きしめたら、
「え......」と、固まる。


「くれるんだよね?」
「え? ...あの...るい......?」

「俺が指したのは牧野だよ」
「......!!」


風に揺れる黒髪を耳にかけて、
「何も用意してないんだろ?」と、囁けば、
「ヒッ...!」と、声にも言葉にもならない感じで喉を鳴らすから、笑いそうになる。


「チョコよりも牧野が欲しいな」


狼狽えていた牧野が急に大人しくなって、その表情を確かめようとすれば、
思いがけず、ギュッと背中に手を回されて、俺の方が困惑する。


「甘くないから食べてくれる?」


......なっ!



「......牧野は、甘いと思います」
「どうだろ? 確かめてみてよ /// 」





確かめるように口づけてわかったことは、
どうやら牧野は、俺が牧野を想うのと同じぐらいに、

俺のことが好き。










With all my love on Valentine’s Day.










Fin.














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2020/02/18 17:06 * edit *

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2020/02/17 17:38 * edit *

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2020/02/15 10:58 * edit *

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